視聴覚委員会の活動について
2023年9月17日,県高文連放送専門部の講習会で視聴覚委員会の活動についてお話しする機会をいただきました。その様子をどうぞ。
1. 盛岡二高はこんな学校です
盛岡第二高校・視聴覚委員会3年のHRとSYです。今日お集まりの1年生と2年生の放送部員のみなさんに3年間の放送の活動を通して学んだことをお話しします。今後のみなさんの活動に活かしてもらえればと思います。
では,はじめに盛岡二高はこんな学校です,ということで,8月26日の文化祭,二高祭で流した学校紹介ビデオをご覧いただきます。およそ15分間です。
ご覧いただいたのは,先月おこなわれた二高祭,文化祭で流した学校紹介ビデオでした。初日の校内公開の時に二高生が見たものとは一部違います。初日の中夜祭の絵も入れて,翌日の一般公開の日に流したバージョンになっています。
今のビデオにダンスチームで活躍している先輩の映像がありました。このパートは,去年の東北高校放送コンテストのテレビキャンペーン部門で優秀賞をいただいた「×2な青春」です。わたしたちは日々の取材や原稿の作成,番組制作で二高生のさまざまな面を知ることができます。これはみなさんもきっと感じていると思います。こうしてつくった番組も大会で終わりにせずに,このように学校紹介ビデオに入れることで校外の人にも二高の良さが伝わるのではないかと思っています。今みなさんに見てもらえて,制作したわたしたちもとてもうれしいです。
2. 視聴覚委員会とは
2.1. 委員会の組織
次に視聴覚委員会について説明します。二高で放送活動をするわたしたちは,委員会組織で,各クラスから2名出てもらって構成しています。他とは違って大会に出たり仕事が多い委員会なので,途中でやめたり,逆に途中から入ってくる人もいます。今は3年生が8人,2年生6人,1年生9人で,わたしたち3年生は文化祭のあと8月29日にお昼の放送からは引退しました。
委員会なので部活動もやっています。わたし(SY)は吹奏楽部でサックスを吹いています。さきほどのビデオで赤いジャージを着てピロピロ吹いて踊りに戻っていっていた人がわたしです。HRさんはマンドリンギター部でベースと指揮をやっています。そして自分の部の定期演奏会でも司会をしたりして視聴覚委員会で培ったことを活かし,一方で,部活動で身につけたことを視聴覚委員会にフィードバックしてたくさんの経験をしながら3年間を過ごしてきました。
2.2. 毎日,放送する
視聴覚委員会の活動のコアタイムは毎日のお昼の放送です。毎日全員でやっていて,当番は決めていません。昼放送がいちばん大事な活動なので全員でやっています。お昼休みに入って5分後が放送開始,4時間めが終わったらみんなダッシュで放送室に来て,原稿を取って,初めて読む原稿を見て自分が担当するパートを決めています。
このように毎日放送をするようになったのは,4年前に今の顧問の先生が転勤してきてからです。その頃わたしたちは中学3年生でした。高校で放送をやりたいと思っていろいろ調べたら二高の放送がすごく活発だと聞いて,二高に進学しました。お昼の放送の実際については,あとでまた項目をたててお話しします。
2.3. 昼放送以外の校内の活動
次は昼放送以外の校内の活動についてです。毎年いちばん忙しい7月から8月の活動がこちらです。
月曜日から金曜日はいつも通りお昼の放送,それに加えて他の部活動の行事の司会や撮影などがすごく立て込んだ7月と8月でした。たぶんみなさんも一緒だったと思います。
わたしたちふたりは24日から27日にNHK杯全国高校放送コンテストで東京に行き(アナウンス部門入選・朗読部門参加),NHKホールでの決勝の翌日に中学生1日体験入学の司会をしました。そのあと夕方に盛岡一高の音楽部の定期演奏会に行ったら,前日まで東京で一緒だった 一高の放送委員のみなさんが撮影をしていました。放送部員が忙しいのはどこも一緒なんだと実感したのと同時に,自分もがんばろうと思いました。
このようにお昼の放送以外でも校内の活動を通していろんな人と関わることでたくさんの人とつながることができました。取材をとおして運動部の人と仲良くなって,すれ違うと「やっほー」と声をかけあうようになりました。仲良くなることでお昼の放送をより聞いてもらえますし,わたしたちにとってはより取材がしやすくなって,すごくお得です。
3. 全国植樹祭
3.1. 全国植樹祭とは
この1年間,校外から依頼された仕事もたくさんありました。盛岡バスセンターの開業式典の司会,いわて教育の日のつどいの司会,市内四校吹奏楽部合同演奏会の司会などです。このうちのひとつが全国植樹祭の司会でした。
全国植樹祭は天皇皇后両陛下をお迎えする行事です。6月4日(日)がその本番,次の日が,ここ岩手県民会館で放送コンテストの県大会でした。
植樹祭のリハーサルは4月から3回あって,すべて陸前高田の高田松原津波復興祈念公園の特設会場でおこなわれました。海のすぐそばで,リハーサルは3回とも雨や風が吹き荒れる屋外で本当に大変でした。これは本番で使った原稿です。133ページあります。最終版まで13回の改訂があって,さらに当日も変更がありました。これを頭に入れて進行の仕事をしました。
3.2. プロの仕事のすごさ
この植樹祭で学んだことを2つご紹介します。1つめはプロの仕事のすごさです。
植樹祭のアトラクションとしてたくさんの方々が出演しました。学校紹介ビデオでも紹介したダンスチームの Lipsや,花巻農業高校の鹿踊り部,大船渡東高校の太鼓部は,雨の中のリハーサルでも熱のこもったすばらしい発表をしました。中でも圧巻だったのが俳優の村上弘明さんです。台本はアクセサリーとして手にしているだけ,すべてを自分の身体に入れていて,あの迫力のある声で本当に魅了されました。きれいに読むのではなく,身体に叩き込んで表現することで声で場を司るのだと感じました。全国高校総合文化祭に続いてこのあとかごしま国体の仕事をする鹿児島純心女子高校放送部のみなさんにも参考にしてもらえたらうれしいです。
スタッフの方々も本当にたくさんいらっしゃいます。植樹祭の行事は全体をとおすと3時間以上あるんですね。雨と風の中のリハーサルですので,台本を見ながらではできない仕事ばかりです。スタッフのみなさんはその3時間以上の台本を頭とカラダにしっかりと入れて仕事していることに大変驚きました。自分の仕事だけではなく,全体を理解した上で全体の中の自分の役割を感じながら動くということが本当に大切だということを実感しました。特にわたしたちのすぐそばでキュー出しをしてくれたフロアディレクターの山田さんは,もうお父さん的存在です。自分の仕事が最も大変なはずなのに,わたしたちをいつも気にかけてくれて,本当にプロ,別れが名残惜しかったです。
メインの司会を担当したのが,IBC岩手放送の甲斐谷望アナウンサーです。いつでもとにかく明るい声で場をつくっていました。みなさんも行事の司会をしたことがあると思いますが,人前に立って声を出す人は現場の雰囲気を作る中心なんですね。ですからあいさつひとつでもあたたかい声だったら現場が暖まります。また,出演者はもちろんスタッフの方についてもどういう仕事をしている何という人か,全部頭に入れてコミュニケーションをとっていて,文字通り会を司っていました。ここまでやって「司会」なんだとということを学びました。
そして何年もかけて準備してきたこの行事を目立つ役割の自分たちが壊してはいけないというプレッシャーを感じながら,本番当日を迎えました。
3.3. 体調管理の重要性
学んだことの2つめが体調管理です。これはわたし(HR)が本当にいちばんに痛感したことです。
植樹祭本番二日前の最終リハーサルでわたしは声を盛大に枯らしてしまいました。本当に声が出なくなってしまって,自分たちの代えもいないのに二日後に司会ができるのか,そしてその翌日の放送コンテストに出られるのかという状態でした。
で,心がけたのが,とにかくしゃべらないということです。本当に当日の第一声までもう一切しゃべらないし笑わないしみたいな感じで,本当につまらない二日間を送りました。でもしゃべらないことが一番大事だと思います。大きな処置としては耳鼻科で喉にいい成分が入っている点滴をしてもらいました。自分でできることとしては,ハチミツをいつでも口にできるように持ち歩きました。ハチミツは喉の乾燥に効きました。百均で買った醤油差しにハチミツを入れて常に持ちあるきました。他にもいろいろ試してみました。みなさんもポケットに入れているかも知れません,Rダイレクトは喉がイガイガした時とかによく使っています。ハチミツは喉が乾燥している時に使うとすごくよかったです,わたしは。参考にしていただけたらうれしいです。
(追記) 鹿児島純心女子高校放送部のTさん(放送コンテストアナウンス部門準優勝)も,かごしま国体・かごしま大会の式典をハチミツで乗り切っているということです。
4. お昼の放送
続いて,8月29日のお昼の放送,3年生の引退放送についてご紹介します。
毎日やっているお昼の放送は1回あたりだいたい10分です。原稿は1回あたり3000字ぐらい,1年間に167回・49万5,066字をしゃべっています。この日の放送はちょっと盛り沢山で,およそ15分,4,346字,放送の内容は次の5つです。
(1)合唱コンクール県大会の結果
(2)今週から来週にかけての予定
(3)部活動以外の大会3つの結果
(4)放送全国大会の報告
(5)天気予報・外国為替・きょうの出来事
(1)(2)はいつもの放送の内容,(3)はふだんはあまり気が付かない部活動以外の大会の結果です。(4)は自分たちが出た放送の全国大会二つの報告です。
8月29日は,二高祭とその代休明けの火曜日です。今年は文化祭で校内の活動から3年生が引退,ということです。ふだんは学年関係なく放送を担当しますが,この日は3年生だけでやりました。録画状態はあまりよくありませんが放送室にいるつもりでご覧ください。
お昼の放送はわたしたちの取材で成り立っています。部活動などオフィシャルな活動についてはどの部がいつどんなことをするかといった情報が得やすいですが,私的な活動を取り上げるにはそれに気が付くアンテナが必要です。友だちとの会話やクラスの中で聞こえてくる話の中に題材が潜んでいることも結構あると思います。この日の放送の(3)では,夏休み中にあった社交ダンスの大会,モダンダンスの大会,それにゲートボールの全国大会で3位になった人を紹介できました。日々の取材のアンテナを高くして,あ,それ面白い,と感じる心のやわらかさを持って生活してみたら,ふだんの放送の内容も変わってくるんじゃないかと思います。
では,まとめです。
5. まとめ
5.1. 広い視野で活動
まとめの一つめは,より広い視野で活動することの大切さです。自分の中だけ,部活動や委員会の中だけという壁に入ってしまうと,新しく気づくことがなかったり価値観が偏ってしまったりすると思います。ですからリミッターは外して視野をどんどん広げて学校の内外へ活動を広げていくことで,人とのつながりが増え,より深みのある放送につながっていくと思います。
5.2. 1分30秒だけじゃない
2つめです。1分30秒だけじゃない。この1分30秒とは大会のアナウンス部門の時間です。朗読だと2分ですね。規定の時間さえうまくしゃべれば入賞も,そんな程度のものが放送の大会,と思われたらいやですよね。お昼の放送ならその日の放送全体を理解して自分のパートを担当する,大会のアナウンスや番組の部門なら自分が取材して感動したことを伝える,朗読なら本の全部をカラダに入れて本の全体を伝える,そういうことが大切なんだと思いました。
5.3. 感謝
自分がいる学校・社会への感謝です。取材に応えてくれる人,そしてそれを聞いてくれる人がいるから放送活動が成り立ちます。また,放送は学校や自分がいる地域社会をそのまま反映する活動です。いい放送ができるのはいい学校や社会に暮らしているからです。そのことへの感謝を忘れずに1・2年生のみなさんもがんばってほしいと思います。
おしまいに,個人的な感謝を。
(SY) 部活動との両立のことです。全国高校総合文化祭(アナウンス部門にふたり参加)の翌日が吹奏楽コンクールの県大会でした。鹿児島から最終便で東京に移動し,去年のとうきょう総文で泊まった宿を翌朝5時に出発して吹奏楽コンクールに出ました。両方とも出場させてもらえたのはまわりの人たちの深い理解と協力のおかげです。二高生で本当によかったと思いました。ありがとうございます。
(HR) NHK杯全国高校放送コンテストは,思うような成績で終わることができませんでした。それでも審査員の先生から直接お褒めの声をかけられて自分は救われました。自分も感動したらそれを直接伝えようと思うようになりました。鹿児島での全国高校総合文化祭ではそれができて新しい友だちができました。それからは鹿児島という地名が身近に感じるられるようになり,大学生になったらまた鹿児島に行くという目標ができました。
今日の講習会には岩手県内の放送部・委員会のみなさんだけでなく,午後の講座をお願いしている鹿児島純心女子高校放送部,それに秋田県の高校の放送部・委員会からもたくさん集まってくださっています。このあとのお昼の時間はぜひ交流を深めてください。おしゃべりをして視野を広げて新しい繋がりをつくってほしいと思います。
ご清聴ありがとうございました。